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メッセージ10

イスラエルとの関わりについては、2014年ネタニヤフ首相の来日時に行われたビジネス昼食会への出席で、ネタニヤフ首相の「世界でイノベーションを生み出せる国は4カ国しかいない。その中でのイスラエルと日本が連携することは世界のイノベーション創出に大変大きな役割を果たす」といった言葉での感銘と、その後、MITスローン・スクールの卒業生であるネタニヤフ首相に、「自分が同じMITスローン・スクールの卒業であることと、クロスボーダーのベンチャーを投資支援するVCである」ことを告げると ” You should come to Israel.” といっていただいたことから始まりました。その年の茂木経産大臣のイスラエル訪問団に参加し、初めてのエルサレムへの交流公式式典への参加とネタニヤフ首相への首相官邸での再会、さらに日本に対して戦略的にテクノロジー分野の国家レベルでの交流を進める中 2016年には、若手のベンチャーキャピタリストをイスラエルの国家予算から招待する派遣団をまとめさせていただきエルサレム・テレアビブ・ファイファの3都市で、OCS(オフィス・オブ・チーフ・サイエンス 現イスラエル・イノベーション・オーソリティー)、テクニオン(イスラエル工科大学)他大学のアクセルレーション・センター、VC等のイスラエルのイノベーション関連施設を訪れ、スタートアップ・ネーションと言われるイスラエルの秘密について理解を深めることができました。

この中で学べたのは、

●イスラエルでは、アカデミズム(大学等の研究)とプルーフ・オブ・コンセプトを固めるアクセルレーター・センター、そしてスタートアップになってからイスラエル・イノベーション・オーソリティーから国のグラントとしての投資やVCからの投資という3段階が明確に役割分担として分けられてマネージしているということでした。これは日本が本来、アカデミズムの研究者がアクセルレーター段階に引きずられ、テクノロジーのライセンス提供の条件などで混沌とすることと対象的でありました。

●アメリカのインテル・グーグル・IBMなどの大企業は、アメリカのシリコンバレー等とイスラエルのテルアビブの両拠点を研究戦略部門のツイン・ヘッドクォーターとし、その戦略の中で、必要なテクノロジーをコアとする自社の次世代商品・サービスのキーパーツをコンポーネントとして捉え、シリコンバレーとイスラエルの両方からその開発プロジェクトとしてのシード・ベンチャーを探し出し、投資もしくは買収するというしっかりとした研究開発の戦略のスタンスを持っていることです。

現在の日本の研究開発をみてみると、日本の高学歴の修士・博士の務める研究開発部門と、外部にテクノロジーを探しだすためのコーポレートVC機能が別々に運営されており、トータルな戦略がマネージできていません。私は、日本の大企業の研究開発組織が、イスラエルと交流することで、まず自社としてのテクノロジー戦略とそのタイム・スケジュール、さらに内製組織で開発していくものと、外部から調達するものとを一元的に管理する方向に大きく進歩できると考えています。

イスラテックは、加藤清司社長が2006年に個人的にイスラエルに関わるようになって以来イスラエルのスタートアップ周辺の知見を蓄積してまいりました。2015年に法人化後も、イスラエルのスタートアップについて徹底的に調査と付き合いを深め、日本の大企業の中でイスラエルのスタートアップのテクノロジーを経営リソースとして利用したいという企業のパートナーとして活動してこられました。この度、エス・アイ・ピーとイスラテックは、大戦略から具体的なイスラエル企業とそのテクノロジーの発掘と交渉に至るまでを共同で取り組んでいくことで合意致しました。今後は、共同でのコンサルテーション、日本の企業及びイスラエル企業向けの共同セミナーの開催、イスラエルでのコーポレートVCの設立サポートなどを取り組んでまいります。今後の展開にご期待ください。